下請け運送会社が元受けフォワーダーにFCRを発行する場合

例) 外航本船到着後、荷主の依頼により、通関業務等を行い、CY/CFSから貨物を引取り輸入者の指定の倉庫まで運送を行う。
貨物と書類上の流れを見てみると;

貨物の流れ
⇒ 運送人(A)により貨物を集荷され、荷主(Shipper)に対して複合輸送証券を発行し、日本国内の荷卸港でDelivery Agentである日本の現地配送代理店(利用運送事業者)により、輸入者の委任により日本国内での他法令検査・通関作業後に、下請け運送会社((A)-①貨物取次事業者としての実運送人)を利用してトラック又はコンテナにて港東地区から貨物を引取り、荷主指定の場所までトラック運送またはドレーにて輸送する。

<<(A)複合輸送B/L発行>>

 

<(A)及び(A)-①解説>

運送人(A)に関しましては、利用運送事業者として、荷主(Shipper)に対して複合輸送証券を発行した運送人であり、その海外代理店のDelivery Agentが仕向地での配送業者であり、荷主(輸出者又は輸入者*)の委任により日本国内での他法令検査・通関作業後に下請け運送会社((A)-①貨物取次事業者としての実運送人)を利用してトラック又はコンテナにて港頭地区から貨物を引取り、荷主指定の場所までトラック運送またはドレーにて輸送します。

下請け運送会社((A)-①)は、CY/CFSから貨物を引取り、運送人(A)または、そのDelivery Agentの指示の下に指定倉庫まで輸送を行う左証としてFCRを運送人(A)または、そのDelivery Agent宛に発行します。

*貿易の売買条件により通関業務の依頼元は異なります。

 

<FCR記載内容>

フォワーダー(運送人(A))に対して、下請け運送人(A)-①が、発行します。

荷卸港のCY/CFSより貨物を引き取った時点から、貨物の引受け(運送人(A)-①管理下)となります。

その後も継続して、デバンニング作業中及び、作業終了後にトラックに積み込み(又はドレーにて)元受けのフォワーダー指定の倉庫搬入までの期間にて発行します。

貨物受領書ですので、輸送・作業・保管中等に発生した貨物に対するリマーク等も記載する必要があります。

 

※下請けとしてのFCR活用 記載事項の変更箇所注意点

①「Forwarder's Principal」の欄は、通常は荷主ですが、この場合は指示を受けている元受けフォワーダーの配送代理店となります。(運送人(A))
記載方法は、「運送人(A) 気付 実際の荷主名」

②「Consignee」の欄は、荷受人ですが、この場合は元受けフォワーダー(運送人(A))からの指示による搬入先の荷主名となります。
記載方法は、「運送人(A) 気付 荷主名」

 

<B/L記載内容の注意点>

荷揚港(Port of Discharge)は、通常通りに「荷卸港+CY/CFS」となります。

貨物の荷渡地(Place of Delivery)は、固有の地名か、または 搬入場所が未定の場合に 「Interior place in Japan」としておきます。

 

<区間外の補償>
梱包不備やコンテナ内のショアリング不備など、輸送証券上は荷主による責任範囲で、運送人は責任を持たないとされています。
この場合に荷主が加入する貨物保険でも免責*となっており、荷主としては、不法行為責任で梱包会社に損害賠償請求をするか、元請け会社として債務不履行責任でフォワーダーを訴えることとなります。
梱包不備に対しては、梱包会社に対する「梱包保険」または、元請けフォワーダーに対する「作業完成後保険」にて対応するしかありません。

*被保険者が関与しない梱包等不備による損害は保険条件により補償される場合もあります。