FCR発行の意義と利点
<<関係各位のメリット>>
<下請け実運送人の立場>
(メリット)
・元請けフォワーダーに対して自社の運送責任範囲を明示した契約書に準ずる書面を貨物引受領書として発行できます。
⇒ 責任範囲の明確化によるサービスの向上となります。
・自社の運送区間で貨物事故が発生した場合の自社の賠償義務の上限金額を設定できます。
⇒ 賠償責任を青天井で負うことを防げます。
・元請けフォワーダーに対して作業完了書として利用できます。
⇒ FCRを元請けフォワーダーに対して、作業完了書として必要書類とすることが可能です。
<元請けフォワーダーの立場>
(メリット)
・デリバリーエージェントとして、国際一貫輸送における国内運送や作業に対して、代理店契約に規定されている以外のサービス内容を運送人と荷主の責任範囲を明確にして海外のパートナーにリスク管理をしやすくし、安心と信頼を提供できる。
⇒ デリバリーエージェントとして、リスクマネジメントを考慮するうえでのサービス基準を提供でき、ノミネーションカーゴ等でも安心して利用してもらえます。
・下請運送業者の運送区間で貨物事故が発生した場合の下請運送業者の賠償義務の上限金額(責任制限金額)を設定できます。
⇒ 責任制限金額によって下請運送業者が加入する賠償保険の保険価額が見直され、荷主に対してコストメリットを出し易くなります。
・荷主に対して作業完了書として利用できます
⇒ 作業完了書に基づき請求書添付書類として必要書類とすることが可能です。
<荷主の立場>
(メリット)
・事故時の責任窓口の一本化
⇒ 窓口の元請けフォワーダーに債務不履行による賠償請求を行えばよいので窓口が一本化され、損害賠償請求がスームスです。
*例えば、自社貨物を輸送しているトラックに信号待ちの間に第三者の自動車が衝突して貨物に損害が出た場合等
・荷主と運送人の双方にとり、相互の権利と義務が明確化され、問題発生時のリスク管理がしやすくなり、見積もり等に業務の受託に関する条件が明示されていない場合でも、適正なリスク管理(損害処理等)が可能となります。
⇒ フォワーダーとの取引が標準化され、リスク管理がしやすくなります。
・直接最終エンドユーザー(小売店・卸店等)に販売する場合の決済を依頼する納品書類として利用できます。
⇒ 運送会社から発行されたFCRを元受けフォワーダー経由で入手し、納品・請求書として必要書類とすることが可能です。
<<リスクに関して>>
・海外現地法人(グループ会社)の発行する運送書類に於いて、貴社現地法人の元請にて梱包不備、ショアリング不備に起因する損害に対する補償ができます。
⇒ 現状は保険による補償がないため、元請フォワーダーに賠償責任請求がなされますが、取次事業者として梱包保険にて補償が可能です。
・FCRを発行することにより利用運送事業者または国際貨物取次事業者として扱われるため、国際輸送に係る賠償保険に加入できます。
⇒ 国際輸送に係る事業を直接していない会社も保険によるリスクヘッジが可能となります。
<<リスクヘッジに関して>>
・ドアツードアの配送先までの責任制限がなされる可能性があります。
・貴社の実務に応じたオーダーメイドの契約書の作成を相談できる海事弁護士を紹介可能です。
・契約書(FCRやB/L)・貨物保険・賠償保険等の組み合わせによるリスクヘッジが可能です。
<<FCR記載方法>>
<備考及び記載方法>
①出荷元 ⇒ 貨物を受領した先の会社名と住所を記載します。
②依頼主 ⇒ この運送を依頼してきた相手の会社名を記載します。
③届け先 ⇒ 貨物の最終搬入先の会社名と住所を記載します。
④貨物引取場所 ⇒ 貨物を受領した場所の名称と住所を記載します。
⑤出向地 ⇒ 貨物を船積する港を記載します。 ※対元請けフォワーダーに発行の場合は任意記載事項
⑥本船名 ⇒ 貨物を載せる外航船舶の名称を記載します。 ※対元請けフォワーダーに発行の場合は任意記載事項
⑦航海番号 ⇒ 外航船舶の航海番号を記載します。 ※対元請けフォワーダーに発行の場合は任意記載事項
⑧荷揚港 ⇒ 貨物の仕向港を記載します。 ※対元請けフォワーダーに発行の場合は任意記載事項
⑨荷渡地 ⇒ 貨物の最終仕向地を記載します。 ※対元請けフォワーダーに発行の場合は任意記載事項
⑩元請けフォワーダー ⇒ 貨物の引き取りを指示したフォワーダー名称と住所を記載します。
⑪コンテナ番号 ⇒ コンテナ単位の貨物の場合に記載します。
⑫荷印・荷番 ⇒ カートン等に記載されているマークと番号を記載します。
⑬数量 ⇒ コンテナ貨物の場合は本数を記載し、小口貨物の場合は、包装数を記載します。包装数の単位 Cartons / Units / Pallets / Rolls 等
⑭貨物明細 ⇒ 受領貨物の明細を記載します。
⑮総重量 ⇒ 出荷元が申告する、重量を記載します。
⑯容積 ⇒ 出荷元が申告する、容積を記載します。
⑰⑬に記載の数量を数字ではなく漢数字で記載します。
⑱受領した貨物に故障等が見受けられる場合に該当する理由にチェック( リマーク) を入れます。
(注意事項)
(A)FCR の署名は、この運送を受託し手配したセクションの管理職の方が望ましいです。
(B)FCR の発行時期は、貨物を出荷元より受け取った日時に運転手( または同乗者) よりの報告で、発行することが望ましいです。
(C)印紙は不要で、発行部数は1部です。
(D)⑰の漢数字は、右記の通りです。 ⇒ 一 弍 参 四 五 六 七 八 九 拾 百 千 万